リフォーム工事について




どうやってリフォームするのかな?

▼よくリフォームする箇所は

 リフォームとは改装工事のことを言います。一戸建住宅は新築してから一○年も経つと、あちこちが傷んできます。

 外まわりでは、外部鉄部の錆び(海辺近辺の地域は三年で錆びてきます)、外壁のひび割れと劣化、屋根材の劣化などがあります。屋内では、湿気のある水まわりの傷みがあります。浴室(ユニットバスは防水性があるため心配ありません)のタイル下地の木材が腐り、白アリの被害に会うケースが多いのです。浴室をリフォームすると、洗面所(脱衣所)も必ずリフォームすることになります。

 台所もリフォームの対象になります。ついでに給湯機も取り替えます。子供の成長に連れて生活スタイルが変わってきます。そのために部屋数を増やしたり、模様替えをします。安物の床板を使うと傷みも早く、一○年もすると取り替える時期になります。内装のクロスのかびや剥がれも目につき始めます。クロスを取り替えると照明器具も取り替えます。畳も取り替えます。いったんリフォーム工事をすると、あちこち手を入れ始めるのです。どの部分をリフォームするか、事前にはっきり決めることがとても大切です。

▼各部のリフォーム工事と適切な工事


長持ちする屋根材は安心です

屋根まわりについて

 屋根まわりで一番いたむところは、瓦の場合は地震や台風によって瓦を固定している土が落ちて、瓦がずれてしまうことです。台風が通り過ぎるとアンテナが転倒し、瓦をいためてしまうのです。ずれた瓦を直すには、瓦の積み直し工事をしなければいけません。そのままにしておくと、ずれた瓦のすき間から雨水が差し込み、下地の防水フェルトや野地板を腐らせてしまうのです。屋根をすべて剥がさなければならないような大工事になってしまうのです。屋根の面積にもよりますが、瓦の積み直し工事は、新築時の屋根工事代金以上の費用がかかります。

 そもそも私は瓦を屋根材に使うことは反対なのです。重量があるので建物に負担がかかります。地震があったら他の軽い屋根材より瓦の落下の危険性や、家屋の倒壊に結び付きます。ですから瓦屋根のリフォームをするときには、瓦屋根はやめて他のもっと軽い耐久性のある屋根材を選ぶべきです。

 屋根材として通称カラーベスト(ある会社の商品名です)と呼ばれている商品が一番よく使われています。耐久性は瓦ほどはありませんが、軽いので地震時でも安心です。ところがカラーベストについている金物の役物(屋根の棟材などのことをいいます)の耐久性がないのです。海辺の近くでは錆びやすく、錆びてしまうと台風等で飛ばされてしまいます。ですから金物は錆びないステンレス塗装板を使うようにしましょう。

 屋根に枯れ葉が舞い落ちる地域ではカラーベストの塗装がはがれたり、表面に苔が発生したりします。そのときはカラーベストの表面に塗装工事をします。

 その他、カラー鉄板葺きの屋根があります。一番安価の屋根材です。錆びやすいためあまり勧められません。

 では何が屋根材として一番良いのでしょうか? 予算にもよりますが、耐久性のあるステンレス塗装板が良いと思います。カラーベストなら、もちろん役物にステンレス塗装板を使います。

雨樋について

 屋根材を取り替えるときは、必ず雨樋を取り替えます。雨樋は鉄板をプラスチックではさみこんだ商品があります。単なるプラスチック製より丈夫なため採用することを勧めます。屋根面積が広い場合は集水性効果の高い大型の樋のほうがよいでしょう。そして軒樋を取り付ける金具の間隔は、四五センチ以内にしてもらいましょう。よく六○センチや九○センチ間隔にしますが、軒樋が雪などの重さで垂れ下がり、樋の効果がなくなります。


ステンレス塗装なら安心

軒、庇の腐れについて

 屋根材を取り替えるとき、屋根下地板の点検をします。すると雨漏りの箇所がわかるのです。特に軒の鼻先の雨水による木部の腐りがよく見られます。そうなったら簡単な工事では終わりません。このようなケースは屋根材を剥がして見ないとわからないのです。

 鼻隠しや広小舞は、後々、塗装工事をしなくて良いような対策を講じなければなりません。鼻隠しや広小舞をステンレス塗装板でつつみこむ工事を勧めます。鼻隠しなどを木部で塗装仕上げをすると、家がある限り三〜五年毎に塗装工事をしなければなりません。その塗装工事のみをするために足場工事を含めて何十万円と言う費用がかかるのです。この方法は良いとは言えません。ステンレス塗装板をつつみこむ工事をしても、何十万円もかかりません。

▼外壁のひび割れについて

モルタルの場合

  外壁がモルタルの場合は、遅かれ早かれ必ずひびが入ります。ひびが入らないモルタルはありません。そしてひび割れた部分から雨水が差し込み、下地の木部を腐らせるのです。ひどいときは柱・土台なども腐り、白アリにやられてしまうケースもあります。そうなったらもう大工事になります。予算があって無いようなことになります。三○○万円の予算が二倍〜三倍になってしまうこともあります。

 ですから新築時にどうすれば長持ちする外壁にするか考えることが、とても大切なのです。ローコスト住宅の場合は骨組みに腐りやすい米栂を使うので、外壁をモルタルにするのは絶対にやめましょう。特に手抜き工事が多い建て売り住宅の外壁のモルタルは非常に危険です。

 「ひびが入らない」という宣伝文句で、すぐにモルタルが塗れるモルタル下地専用板(大きさは九○センチ×一八○センチ)が某メーカーから販売されていますが、継ぎ目にはっきりとひび割れが出てきます。使うのはやめましょう。モルタルに大きなひびが入っていたら問題です。基礎や建物に問題があり、特に建物が傾いている可能性があるのです。まず原因を徹底的に調べるべきです。

 モルタルの吹き付け直し工事の仕上げ材の材質は、少し高価なものになりますが、表面に弾力性のある仕上げ材をを勧めます。たとえ下地のモルタルにひびが入っても、表面にひびが出てきません。吹き付け材の安物の材料は耐久性もなく長持ちしません。

窯業系のサイディング等(防火サイディング)の場合             

 防火サイディングの場合は、モルタルほど深刻ではありません。まずひび割れがありません。表面の塗装面の劣化はあります。サイディングとサイディングの継ぎ目の防水シーリングさえしっかりしていれば問題はありません。

 しかし、サイディングや目地シーリングに大きな亀裂があった場合は大問題です。この場合は、基礎や骨組みに問題があり家が傾いていることが考えられます。このような場合は基礎・骨組みから直すので、工事費用はどれだけかかるかわかりません。 

木製外壁材(木製下地板)の場合

 外壁が木製の場合は塗装工事が大変です。塗装工事に手を抜くと木が腐り始めてしまいます。時期が経過すると、同じような板がない場合が多く、取り替え工事に苦労します。金銭的に余裕がある人でない限り、木製外壁材は勧められません。

▼サッシの取り替え工事について

 最近のサッシは気密性がとてもよいのですが、一昔前のサッシになるとゴムパッキンが劣化して気密性も悪くなり、取り替えたほうがよいことになります。サッシを取り替えることは外壁も壊さなければなりません。室内の窓枠も取り替えなければなりません。室内の内装材も取り替えます。ついでに床板を取り替えたりすると大変な工事になります。ひょとすると立て替えたほうがよいかも知れません。資金的なことをよく考えて計画するべきです。「サッシだけを取り替えればよい」などと簡単に考えていると大変なことになります。

▼浴室のリフォームについて

 タイル仕上げの浴室が家の中で一番いたみやすいのです(ユニットバスは心配ありません)。特にタイルにひび割れがあると、タイル下地の木材(土台、柱など)の腐れが心配です。湿気があるため白アリも発生します。浴室のいたみ具合は実際に解体して見ないとわかりません。ですから解体した状況によって、工事費用は減ることはなくても大幅に増えることを考えておきましょう。

 浴室のリフォームは、家の耐久性を考えるとユニットバスにするべきです。もちろん、お金をかけて防水をしっかりすれば、タイル仕上げの浴室でも問題はありません。

▼洗面所、脱衣所のリフォームについて

 浴室の出入り口にある洗面所、脱衣所は浴室の湿気によりいたみが早いのです。特に、浴室の出入り口の床板が腐り始めるのです。表面が耐水性のあるCFシート仕上げの床でも、下地の木材から腐り始めるのです。そして根太、大引き、土台まで被害が及ぶのです。すると改修工事範囲が拡がり、工事金額も雪だるま式に増えるのです。改修工事部分は床のみだけでなく、壁・天井も取り替え、洗面台も新しくするのです。すると電気工事、水道工事、塗装工事なども関係してきます。改修時に使用する床板は、腐りやすいCFシート及びパーケットフロアーはやめ、耐久性のある無垢の木材を使うようにしましょう。予算があれば洗面台、洗濯機の周りの壁にはタイルを張ることを勧めます。もちろん、根太・大引きは耐久性のある桧を使いましょう。

▼台所のリフォームについて

 台所のリフォーム工事も費用がかかります。キッチンセットも安くありません。大工工事のみでなくタイル工事、内装工事、水道工事、電気工事、ガス工事も関係します。給湯機も取り替えるかもしれません。少なくても二〜三○○万円はかかります。浴室、洗面所、台所のリフォーム工事は、住宅の中で一番費用がかかる部分なのです。特に水回りであるため、知らない間に水道管よりの水漏れによる木材などの腐れがあると、予定外の費用がかかります。

▼間取りを変更する工事について

 各部屋のリフォームはクロスの張り替えなど、簡単な工事ですませることができます。費用もそれほどかかりません。ところが、柱を抜いて小さな部屋を大きな部屋にする改装工事においては簡単ではありません。その中で家の強度を左右する耐震壁を取り去ってしまうというケースがあるのです。リフォーム工事が終わり「建物は綺麗になったが、地震に対しては弱くなった」と言うのでは話になりません。柱を抜いてリフォーム工事をする場合は、耐震性のことも考えなければいけません。二階建ての場合は、一階の柱を簡単に抜くと致命的になります。とても大切なことです。十分注意しましょう。



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