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土地付き一戸建住宅を求める方法として、まず土地を探します。一つの方法として、「信頼のおける不動産屋に頼んでおく」のが一番です。そして良い物件が出て来るまで根気強く探すのです。その根気強さが、後悔しない土地選びに結びつくのです。しかし理想の土地がなかなか見つからないと「いらいら」しはじめます。
そして新聞のチラシなどに目が移るのです。そのチラシを見て不動産屋に問い合わせると、大変なことになります。「お問い合わせの物件はさっき売れてしまいました。他にも同じような物件があるので探しましょう」と言い、他の物件をもってくるのです。
ちなみに売りに出ていない物件でも、客の目を引き付けるために「オトリ」として掲載してしまう悪質な不動産屋がいます。紹介してくれた他の物件の中で良い物があればいいのですが、希望しているのとまるで違う物件を持ってくるのです。気に入らなければまた他の物件です。それがまた、とてもしつこいのです。
皆さんは経験済みでしょうが、もうそのようなしつこい不動産屋からは「絶対に買ってやらない」と思ったことがありませんか?
良い不動産選びは、良い不動産屋選びから始めないといけません。くれぐれも言っておきます。「不動産に掘りだし物はありません!」。
どの物件にしますか?
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もし私が不動産屋に頼むときは、出来るだけ大手業者を選びます。第一に信用があり、安心できます(これは私の経験からです)。
町の小さな不動産屋はこまわりが効いて良いのですが、大手業者と比較すると「いつ倒産するかも知れない。資金的な点で不安」と言う点で見劣りします。特に小さな不動産屋は中途採用の若い営業マンが多く、どういうわけか彼等は長続きしないのです。
よく町に、大手不動産会社のグループ系列に入っている小さな不動産屋があります。これは大手の資本が入っているわけでもないのです。独立採算制です。倒産しても親元は何もしてくれません。ただ名の知れている看板だけを使っていれば、客受けが良いのです。
たちの悪い不動産業者は、小さな不動産屋に多く見受けられます。特に、普通の人が手が届きやすいミニ開発専門の分譲建売り住宅を手がけているところは、建物込みでの利益を考えているため、どうしても建物の質を落とさざるを得ないのです。建物付のミニ開発分譲地には気をつけましょう。
しかしそのような物件でも訳あってどうしても買いたいときは、相当慎重にしなければなりません。そのような場合は、購入する前にお金を支払ってでも、土地と建築に詳しい専門家にかならず診断してもらいましょう。診断して良い結果がでない場合は絶対に諦めるべきです。
相談する機関がないときは私にご相談ください。アドバイスします。
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土地などを購入するときに、契約前に仲介する不動産屋が信頼できる業者かどうか調べなければなりません。業者のなかには、強引な契約をしたり、契約後に倒産したりしてトラブルの発生が見受けられます。そのようになる前に「営業免許」の確認と「土地建物取引業者名簿」の閲覧などをするべきです。
▼営業免許があるか
免許には、建設大臣免許(二つ以上の都道府県に事務所を構えて営業すること)と都道府県知事免許(一つの都道府県に事務所を構えて営業すること)があります。
免許証番号は、例えば「建設番号( )第○○○○号」と表示されています。( )の中には数字が入りますが、数字は五年毎(平成八年四月より)に行われている更新の回数なのです。数字が大きいほど古く業者の信用度の目安になります。
▼業者名簿を閲覧する この名簿は都道府県の宅建業担当課で閲覧できます。
- 代表者、商号、事務所の所在地を調べます
- 代表者、商号、事務所等の変更が多い場合は問題が多いのです。注意しましょう。
- 過去の実績を見る。
- 資料を見て、取り引き件数等から事業状態がわかります。
- 建物取引主任者を調べる。
- 建物取引主任者の免許を持っている人の、名義だけを借りている場合があります。建物取引主任者が、事務所に専従しているか確認しましょう。
- 資産状況を調べる。
不動産業者の資産内容がわかります。
・過去の行政処分等を調べる。
過去に行政処分を受けているとか、消費者からの苦情があったか等を調べます。トラブルが頻繁にあった場合は、取り引きしないほうが無難です。
その他業者団体等に加盟しているかなどについて調べます。
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「マンションでは満足しない、土地付き一戸建てが欲しいのだが、予算的に新築建売り住宅を買えない人」がいます。そのような人は、土地付中古住宅が良いかもしれません。ところが、中古住宅は以前そこに住んでいた人が、どのような使い方をしているかわからないのがとても不安なのです。中古住宅を販売する時は必ず外壁や内装を綺麗にします。リフォーム工事ををした後は一見きれいに見えますが、本当に具合の悪いところもベールで包んでしまうのです。外壁にヒビが入っていて、それが致命的な箇所だったとしてもリフォームした後は、プロでも見つけられません。
「新築同然。外観リフォーム済」などと新聞のチラシに載っていますが、要注意です。
他に注意するところは浴室、洗面所、台所等の水回りの床下が腐って白アリにやられている場合があります。それを知らずに買ってしまうと後で大変なことになります。
ユニットバスの場合は、漏水がなければ安心ですが、浴室が木下地でタイル仕上げなどの場合は、下地の木部の腐りが考えられ、その問題は深刻です。柱、土台が腐っていると大きな地震がきたらひとたまりもありません。
購入する中古住宅に末永く住み続けようと思っている場合は、慎重に調べるべきです。重大な欠陥があるかもしれません。
購入後に欠陥を発見しても、新築と違って保証などありません。中古住宅を購入するときは、建物に詳しい専門家に必ず診断してもらいましょう。
外観はきれいでもフタをあけると・・・
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(1)現地を見る
理想的な土地とは、南面に四メートル以上の道路(公道)があり、土地がそれに接していることです。第一に日当たりの良い土地を探します。金額が少々高くても資金繰りがつけば、日当たりの良い土地を買うべきです。全面道路は公道または、公道扱いでなければなりません(道路のことは、役所の道路を管理している担当部署で確認できます)。
道路が私道の場合は土地の権利者の承諾を得なければならず、後々面倒なことになります。もし道路の権利者が変わった場合は「私道を使わせてくれなくなる」といったトラブルも考えられます。トラブルがあってから他人に売却しようとしても、売るに売れません。しかし不動産屋はそのような土地でも手数料を稼ぐために平気で売ろうとします。
また、購入しようとしている土地が、四メートル以上の前面道路に通常二メートル以上接していないと、家は建てられません。前面道路が四メートル未満だと、新築するときに現在の道路幅の中心線より、二メートルバックしたところまで境界の杭を下げなければなりません(このことをセットバックと言います)。
自分の土地として使えると思って購入した土地が、ただ同然の金額で道路として取られてしまうのです。土地の面積が減るのです。購入する前から覚悟をしておくべきです。購入しようとしている土地の四隅に、境界杭が入っているかも必ず確認しておきましょう。また杭が入っていないと、後々トラブルのもとになります。
土地の見方
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2)周辺の環境を見る。
購入したい土地の周りにある学校、スーパーマーケット、銀行、公共機関、交通機関などを調べると同時に、土地自体の環境を調べます。近所に昔から住んでいる地主がいるはずです。
その人に購入したい土地は以前は何があったか、どんな地盤だったか聞いてみましょう。以前テレビで放送されていましたが、池を埋め立てて造成分譲したケースがありました。地盤が沈下し始め、道路は波打ち、ほとんどの家が傾きはじめたのです。電柱も傾いているのです。分譲業者はこれといった対策をせず、逃げ腰なのです。一番困っているのは入居者なのです。心身ともつかれ果てるのは業者でなく、これまた入居者なのです。
そのようにならないようにするためにも、地主に何があったか聞いてみるべきです。盛り土部分や、軟弱地盤なら要注意です。購入してもいいのですが、地盤改良しなければいけません。どの程度の地盤改良で済むのか検討しなければなりません。地盤改良に予想外の費用がかかると資金計画に影響します。十分注意しましょう。
予算があれば地盤を調べるためにも地質調査(費用は五万円位です)をしてみるのも大切です。なお、隣にどのような方が住んでいるか十分気をつけましょう。変な人の隣に引っ越してしまったら後で苦労します。
まず土地を調べなきゃ・・・
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(3)法務局で調べる
土地と言うものは必ず所有者がいます。その土地が誰のものであるかを登録しておく公的機関を、法務局(登記所)と言います。その土地を利用して、金融機関から資金を調達する場合は、抵当権の設定をして謄本に記載します。それらの事柄をし、閲覧することができる場所が登記所です。
欲しいと思った土地があったら、誰の名義であるか、今現在の抵当権の設定はどうなっているかを調べることがとても重要です。銀行でも土地などを購入するときに抵当関係は調べてくれると思いますが、高い買い物をするのです。自分で足を運び慎重に調べて下さい。
抵当に入っている場合は土地購入の契約をするときに、抵当権が確実に外せることを売り主、または不動産屋に確認しておくことです。
謄本をみると、地目の欄に「宅地」とあればよいのですが、それ以外の名称(たとえば農地とか)の場合はすぐ建物が建てられない場合があります。よく調べましょう。地積測量図も手に入れましょう。もしなければ、後々のトラブルのもとになります。契約する前に正式な地積測量図を作ってもらいましょう。そして境界杭も現地で確認します。
ここで注意することがあります。同じ土地でも謄本に記載している面積と、地積測量図(実測)の面積が違う場合があります。実測面積で契約するのが一番良い方法です。
実話ですが、以前、古屋があった土地を購入しました。古屋は売り主負担で解体してもらいました。土地を買った人は、家を新築して登記をします。そのときわかったことですが、解体したときに古屋の「抹消登記」をしていなかったのです。金額的には四万円位かかったのですが、このままでは購入した人の負担になってしまいます。古屋のあった土地を購入するときは、気を付けましょう。
調べるのは大切です
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(4)役所で調べる
建物を建てるときには、さまざまな法律や規制があります。
自分が求めている土地に、どのような種類の建物が、どれくらいの広さで、どれくらいの高さの建物が建てられるのかを調べなければなりません。これは契約する前に調べておくことです。「三階建て住宅を建てようと思っても、実は建てられなかった。」ということが契約後に気が付くといったこともあります。そのために必要な部屋数がとれず、いきなり「計画失敗」という取り返しがつかない悲惨な幕開けとなります。そのようなことが起きないようにするためにぜひ調べて見るべきです。
なお市街化調整区域といって、宅地の造成および、建物の建築ができない地域があります。そのような土地は絶対に手を出さないでください。
(5)水道局で調べる
大手業者が造成した新規分譲地の場合は心配ないと思いますが、宅地内に口径二○ミリ以上の水道が引かれているかを調べます。口径一三ミリでは、蛇口の数は一戸につき六箇所しか付けることができません。そして水の出が悪く、水圧が低ければ給湯機が作動しません。
特に、ミニ開発の分譲地または、袋小路の宅地、かなり古い中古住宅などを購入するときは要注意です。他人の敷地を利用してを水道管が通っている場合がよくあります。
このようなケースは水道管の埋設時期がとても古い場合が多く、その土地の持ち主も記憶にない場合があるのです。そして引き込み管が老朽化して腐ってしまい、パンクして水が吹き出て初めて事の重大さに気が付き、大騒ぎになるのです。場合によっては地主はもう水道管を通してくれなくなり、何百万円もかけて公道より引き込むことになります(鎌倉で実際にあった話です)。
もし水道が引き込めなくても、おいしい地下水が豊富にあるところは、井戸を掘ることも考えられます。井戸水がいつまで汚染されないでいるかは誰も保証できませんが
(6)下水道を調べる
水道関係が解決したら、次は下水道です。同じ役所の下水道課で調べられます。「下水道完備」とあっても、汚水を直接放流可能なものと浄化槽を設置しないと放流できない地域があります。浄化槽を設置すると入居人数にもよりますが、何十万円と言う工事代金がかかります。総建築費にも影響するので、前もって知っておく必要があります。下水道が完備していないと、トイレはくみ取り式か、簡易水洗になってしまいます。
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(7)電気を調べる
電気については、現地の周辺を見渡し電柱が建っていれば問題ありません。
最近の分譲地においては、電柱がなくても地下に埋設している場合もあります。回りに家がないところの土地の場合で、電柱が見当たらないときは要注意です。
前面道路が公道であれば電柱は建ててくれますが、私道の場合、土地の所有者の承諾を得なければなりません。いずれにしても「怪しい」と思ったら、電力会社で電気が引けるか調べてもらいましょう。
(8)ガス質を調べる
ガスについては、都市ガスが入っていれば問題ありませんが、もし都市ガスが入っていなくても水道のように深刻になる必要はありません。都市ガスがどうしても引き込めない場合、プロパンガスにすればよいのです。
なお、都市ガスは工事代がかかりますが、プロパンガスは特別の理由がない限り工事代は無料です。ところが、たちの悪い建設業者は、無料であっても都市ガス工事並みに、請求して儲けようとするのです。
(9)銀行で調べてもらう (再チェックしてもらう)
土地を購入するときに、銀行で資金をかりてローンを組む場合、銀行側で融資をするにあたっての事柄をチェックしてくれます。銀行は、権利関係とその土地に建物が建てられるか、そして返済能力があるか等の事柄のみは詳しく調べてくれます。調査して問題があれば銀行は融資してくれません。
ただし上下水道関係は調べてくれることがあまりないので、自分で調べましょう。
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契約前に土地の説明を受けるときは、土地建物取引主任者に購入予定の物件の説明を受けます。
内容は、あなたが購入する土地について自分で調べた事柄と、同じことを報告してくれるはずです。報告内容が同じなら良いのですが、違っていると問題です。
実際に私が立ち会ったケースです。Aさんが大手不動産会社に頼んで土地を買うことになりました。契約前だったので私が土地を調べました。前面道路は四メートル以上の公道で問題はありませんでした。下水も生放流できる設備が完備されていました。ガスも都市ガスが使えます。登記関係も契約時に抵当権が抹消されることが確認できました。上水道も完備していました。
しかし、よく調べると水道管の口径は最低二○ミリは必要なのに一三ミリしかないのです。以前、その土地には古屋がありました。それを解体して土地を売っていたのです。その家は水の出が悪くても、一三ミリの水道管で我慢して生活していたのです。
重要事項説明書の説明を受ける日が来ました。説明は順調に進みました。そして水道のところの説明です。「水道は敷地内に完備されてます」という説明のみでした。私は質問しました。「水道管は一三ミリしか入っていないのを知っていますか?」
不動産屋は「なぜ知っているんだ?」とばかり驚いていました。
このままで契約すると二○ミリの水道管を引き込む工事はAさんの負担になってしまいます。二○○万円位の予期せぬ大出費になるところでした。もちろん契約書には、売り主の負担で水道は引き込むように書き加えてもらいました。仲介は大手不動産屋でしたが、大手といえども安心できません。
私の友達の家を昨年建てました。その友達も、以前古屋があった土地を買ったのです。やはり水道管は一三ミリでした。知らないで契約すると、何百万という予定外のお金が出ていきます。その売り主さんはとても気のよいお年寄りのように見受けられました。
不動産屋に良いように操られ、予定外のお金がかかってしまい、困っているようでした。
ちなみにこのときの仲介業者は、町の小さな不動産屋でした。
重要事項の説明はしっかり聞いておく
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今度はBさんの家の話です。すでに土地の契約は終わっていました。
登記上は問題はありませんでした。設計もおわり見積りの段階に入りました。
水道管が一三ミリで、前面道路から引き込んでおらず、隣の土地を横断していたのです。しかも水道管は相当古く老朽化して、いつ漏水するかわからない状況なのです。
不動産屋に交渉しましたが「現況で売買したのだから」と言って相手にしてくれなかったのです。不動産屋は契約する前から知っていたのです。下水の最終桝も敷地内に入っていなかったのです。今、不動産屋に交渉中です。このままでは一一○万円ほどの予定外の出費になってしまうのです。
どちらにしても、不動産屋は契約するまでの戦略として「他にもこの土地を欲しがっている人がる」などと言ってけしかけます。あおられたお客さんは、あわてて契約することになるのです。契約するまではうるさいほど連絡がきますが、契約してお金を支払った後は全くきません。アフターサービスはありません。アフターサービスの対応は大手業者も、中小業者も同じです。まるで住宅メーカーの営業マンのやり方と同じです。
再度言います。重要事項説明書の記載ミスを見落とすと、後で大変なことになります。
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さて契約です。契約書はどのような内容で契約するか、事前にあらかじめ見せてもらいます。契約書の内容が理解できないときは、お金を支払ってでも弁護士などに相談するべきです。自分に不利な点が見つかったら、交渉して必ず直してもらいましょう。
それでも不安なら、契約当日に弁護士さんに立ち合ってもらいましょう。
普通、土地購入をするのに銀行ローンを使う場合、その銀行の応接室で仲介業者、司法書士等の立ち合いのもとで、契約します。契約後に直ぐその足で法務局に行き、登記するので不動産取得税がかかります。
契約は慎重に・・・
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▼契約するときのチェックポイント
1、印鑑は自分で押す。
自分で書類に目を通し、納得したら印鑑を押します。たくさん書類があります。面倒だからと言って他人に任せると、自分に不利になる書類にまで印鑑を押されてしまい、後で大変なことになるかもしれません。印鑑は必ず自分で押しましょう。
2、口約束はしない。
口約束はトラブルの元になります。必ず書面で残しましょう。「言った、言わない」の醜い争いになります。
3、仮契約書はつくらない。
不動産屋にせかされて、仮契約書などに印鑑を押してはいけません。後でと ても不利になり、多額の違約金を請求される場合があります。
4、拇印、署名でも契約は有効です。
「拇印や署名ならいいか?」と簡単に思いますが、契約書は有効です。
十分注意しましょう。
なお、契約書は公的機関が発行している契約書を使いましょう。業者が独自で発行している契約書がありますが、業者に有利な内容になっている場合があります。注意しましょう。