設計について 田村幸彦(担当)



本当の住宅設計とは

 これから家を建てようとする人は、まず間取りから考えるはずです。居間の広さのこととか、子供部屋の数、寝室はベットか布団か、収納はどうするか、もちろん日当たりは良くしようなどについてです。方眼紙を買い込んで、鉛筆と消しゴムと定規で四角い形を描いては消し、また描いては消し、夜な夜な慣れない手つきで苦労することになるでしょう。そして日に日に住宅雑誌が山積みにされ、最後には「今度の日曜日に、住宅展示場に行って見よう」というルートになるのではないでしょうか。

 住宅展示場には、定食ランチのような素敵な建物が「おいで、おいで」と皆さんの気持ちをくすぐるのです。ところが数多い建物を見学するうちに、夜な夜な書いた方眼紙の絵と一致するものがなかなか見つからないことに気付くと思います。

 住宅展示場の建物はすべてとはいいませんが、その大半がレディーメイドのパターンが基本で、その外観や構造などの制約の中で一部変更が許される程度なのです。

 車を購入するときのことを考えて見てください。新車をフル装備で買ったとしても、基本的には隣の同じ車と何ら変わりはありません。

 「家も車も同じ物」とお考えの方は、住宅展示場で即決されたほうが結果としてお得かもしれません。しかしよく考えて見てください。車の寿命は五年から一○年ですが、大半の人にとって「家は一生に一度きりのものだ」ということを。

 人がそれぞれ異なるように、ライフスタイルも必ず異なるはずです。あなたのライフスタイルに合った家は、オリジナルな設計によらなければ実現できません。

 オリジナルな設計をして、本当にあなたのライフスタイルにあった家を実現するためには、まず優秀かつ良心的な設計士とお友達になってください。友達になるということは住まい手の性格や趣味を知り、住まい手の求めるライフスタイルを住まい手になり変わって実現することにつながるのです。

 住まい手と設計士が一緒に苦労し、悩み、意見をぶつけ合い、生み出された住宅の設計図の中には必ず魂とハートが宿ります。そこに本当の住宅設計というものが成り立つのです。

設計事務所の選定について

 それでは、そのお友達になってくれる設計士をどのようにして見つければよいのでしょうか? はっきり言ってそれは大変難しいことです。今の日本のシステムの中では「お見合い」と同じで、これはと思う設計士と出会うきっかけがありません。アンテナを高く張って情報を集めるやり方もありますが、知り合いや建築関係の方にお願いして紹介を受けるやり方が一番良いかもしれません。

 一生に一度の大事業ですから、自分の結婚相手を見つけるぐらいの努力を怠ってはなりません。気に入らなければ何回も「御見合い」すればよいのです。努力すれば、必ず気のあった設計士に出会うはずです。

 ここで一言ながら付け加えておきます。住宅建築雑誌やテレビのお家拝見などで紹介された建築や、その設計士が必ずしも優れたもではないのです。デザインを重視したために、とても住みにくい建物になってしまうことがありますので注意してください。

設計事務所の業務と役割について

 設計事務所の仕事とは、単に図面を書くだけと思われている方がおりますが、ここで簡単にその業務と役割について述べておきましょう。一言で言って建築のためのトータルコーディネイターと思ってください。土地購入の見極めからライフスタイルにあった設計図の作成、建築確認申請の提出、施工者の選定から工事費見積のチェック、現場の監理、調整、外観やインテリア(内装の材料の吟味、家具、カーテン、照明器具等に至るまでの選定や色彩の決定を言う)コーディネイト、そして建物引渡前の完成検査に至るまですべてを指揮いたします。これが設計事務所の役割です。

 役所に建築確認申請を通して、後は施工者に任せる設計事務所がありますが、これは本来の意味での設計業務ではありません。

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三者が協力しないと良い建物はつくれません

建て主と設計者、施工者の関係について

 設計者は常に建て主と施工者の間で、第三者的立場で建築現場にのぞみます。

現場における総指揮のほか、大なり小なり必ずおきる設計変更に対する対応と、金額の増減の調整、材料の検査や、製品のチェック等々、公平な立場で監理(監理ではありません)します。

 第三者的立場の監理者のいない施工会社の設計施工の現場や、住宅メーカーの現場がどうなるか想像するだけでぞっとします。監理者のいない野放し状態の現場で損をするのはだれでしょうか。

 しかしながら、ただ厳しいだけの監理があればいいというものではありません。建築を成功させるのは三位一体、すなわち建て主、施工者、設計者が一心同体となり協力するところに、その結果があるということを覚えておいてください。


根気強い打ち合わせが大切です

設計の仕組み

 設計士は設計の発注を受けたその日から、鉛筆と定規を持って図面を書き始めるわけではありません。私の数多い設計の中でも、いきなり案を持ってこいと命ぜられたことがあります。

 前段でお友達になると述べましたが、このことの意味するものは建て主さん自身と、建て主さんの住まい方に対する要望や考えを知るということです。具体的には次に示すような項目についてヒヤリングし検討願うほか、用意していただくものもあります。

  • 家族の構成
  • 住まいに対するイメージ、要望(洋風、和風、日当り、眺望等々)
  • 必要諸室とその広さ
  • 室別必要諸設備
  • 収納について
  • 既存家具の扱いについて
  • 建設に関わる予算について  等々

 項目だけ書き出せば、たいしたことがないように思われるかもしれませんが、これらの項目を一つひとつ突き詰めていくと、大変な作業になります。この項目の内容が整理されませんと、皆さんが望まれているような家は建ちあがりません。言い替えれば、じっくりと時間をかけてこれらの項目を、空間構成を考えながら整理していくことが、設計という作業なのです。

 しかし、これだけでは実際の設計作業は進められません。建築基準法のほか、法的な制限もあります。「敷地いっぱいに建ててくれ」と要望されることがよくありますが、地域によっては、そのようにできないときがあります。

 建築基準法では、良好な住環境を保つため、制限を取り決めた地域、商業、工業に適した地域とか細かく指定しています。建蔽率とか容積率とか面積に対する制限、高さや日照に対する制限等さまざまです。

 これらについては、設計士が役所に出向いて専門家として調査しますので、なんら心配はいりませんが、頭の中には入れておいてください。

 当設計室では住宅設計メモというものを作成し、建て主さんに記入していただきながらヒヤリングの資料としております。

参考資料:住宅設計メモ

設計期間について

 さて設計者が決まり、いよいよ設計が始まります。この時点で建て主さんにとって気になるのが、設計期間です。どうしても気がはやるのがこの時期です。しかし、前述のように設計とはそう簡単に成り立つものではありません。住宅メーカーに頼めば、決められた間取りを選ぶだけですから簡単に済みます。ですから条件の違う敷地でも、同じタイプの建物が建つ場合がよくあります。

 服を買うときのことを考えてください。既製品の服とオーダーメイドの服の違いと同じことです。既製品の服はすぐに着ることができますが、オーダーメイドの服は採寸、縫製、仕上げと時間がかかります。設計士が設計する建物もこのオーダーメイドの服と同じことです。

 設計は前述したように設計士とお友達になることから始まります。次に基本構想という段階があります。基本構想とは建て主さんと打ち合わせた要望や、条件を設計士が整理してラフなスケッチを何案も作り、建て主さんにとって理想的な家を建て主さんと一緒に考え、検討していく段階です。白紙の紙の上に形ができるわけですからこの段階が一番大切ともいえます。

 基本構想でおおよその方針が決まると、次に基本設計という段階に向かいます。基本設計では基本構想で決まった形や方針を具現化し、さらに寸法を与えていきます。この段階でほぼ家の形が決まってきます。また、図面だけでなく、完成予想図(パース)や模型を作って建て主さんにも外観やイメージを納得していただきます。しかしこれだけではまだ家は建ちません。

 施工、見積りをするための詳細設計があります。これを実施設計といいます。実施設計では内外装の仕上げや建具の大きさ、システムキッチンや家具、空調や照明のことなど細部にわたって決定していきます。この実施設計が終わって初めて設計が完了します。

 このように段階を踏んで設計は進められます。言葉でいうのは簡単ですが、多種多様な要素がからんできますのでかなり大変な作業であることを認識してください。

 ですからお友達↓基本構想↓基本設計↓実施設計とかなりの時間を要します。建物の規模にもよりますが、少なくとも六カ月位見込むとよいでしょう。中には一年近くかけてじっくり設計されたものもあります。 

建築確認申請について

 さて、設計がある程度まとまってくると、その建物が建築基準法など関連法規に適合しているか審査を受けなければなりません。この審査のことを建築確認申請といいます。

 通常、市役所や区役所の建築課、建築指導課、建築審査課といった部署に所定の書類を提出し(その際、規模にも寄りますが確認申請手数料が数万円必要になります)、問題がなければ一○日から一五日ほど(法規定では七日間)で確認通知書という形で許可がおります。この許可がないと建物の着工ができません。

 住宅金融公庫など、借入れをするときの設計審査もこの申請と同時に行います。これら設計審査にかかわる申請手続きはすべて設計事務所が代行しますので建て主さんはなんら心配もいりません。

施工者の選定と工事費の調整について

 建築確認申請を提出し、実施設計が完了すると、いよいよ建物を施工するために建設会社や工務店を決めなくてはなりません。

 施工者の決め方にはいろいろあります。良心的かつ信頼のできる施工者にいっさいお任せする特命発注方式、複数の施工者から工事総額を提示してもらい一番安価なところに決める入札方式、同じく複数の施工者から内訳書付の工事見積書を提出してもらい、その金額と内容を吟味した上で決定する見積合わせ方式などがあります。

 入札方式は主に官公庁工事の発注方式で、通常、民間の建物や住宅は特命発注方式や見積合わせ方式 によります。いずれの場合でも施工者の実績や技量など設計士の公平な判断により選定してもらい、工事見積書のチェックから工事費の予算との調整をしてもらうことが一番の近道であり、かつ建て主さんにとって最も得なやり方であることは間違いありません。

 施工者の設計施工では、ここの部分がなかなかうまくいきません。以上施工者の選定から工事費の調整に至るまでを述べましたが、これも設計士の仕事の一つです。

 ここでもう一言、施工者の選定について述べさせていただくと、木造住宅の場合は設計士の推薦する大工さんにお願いするのが妥当でしょう。なぜなら木造の場合、その出来上がりは大工さんの技量によるところが大きいからです。

 いくら安くても建て売りばかり施工している大工さんに良心的な建物をお願いしてもはっきりいって無理です。

設計料とは

一般に設計士に建物の設計を頼むと、高くつくと思われがちです。しかし前述したお友達になってから……施工者の選定までを思い出してください。建て主さんの立場に立った設計から施工者の選定、そして後述する現場監理まで、第三者的立場の存在の重要性は多くを語らなくてもご理解いただけるとともに、建て主さんにとって得になるということはおわかりいただけると思います。

「設計図どおり、もしくはそれ以上のものが建て主さんに提供できる」そのような意味で設計料は決して高くはないと思うのですが。

 安い設計料でお客を引き付け、そして内容も安っぽい家をたてる住宅メーカーや建て売り住宅、そして住宅メーカーの設計施工方式をお選びになりますか。

設計料の金額について

 わが国では、残念ながら医者や弁護士のようにしっかりとした設計料の取り決めがありません。ですからお願いする設計士によってその額は異なることがあります。良心的な設計士でしたら、決して法外な額は要求しないと思いますので相談してください。お友達になった設計士が一緒に建てる喜びを感じてくれる建築家ならば、必ず相談にのってくれるはずです。

 住宅設計の設計料は、構造規模にも寄りますが、工事費総額の一割前後(後述する現場監理料も含め設計監理料として)ではないでしょうか。構造(鉄筋コンクリート造、鉄骨鉄筋コンクリート造や鉄骨造など)によっては、構造計算、構造図の作成や空調衛生設備、電気設備設計が必要になりますので、設計料のほうも割高になります。

現場監理とは

設計図を書くことだけが設計士の役割ではありません。建物を建てることが目的の設計図ですから、その建物が設計図どおりできあがっていくかということを、監督する存在が必要です。  

 設計図で指定してある材料が仕様書どおりに使われているか、その材料と他の材料との取り合いはよいか、所定の寸法通りに各部分が正確に納まっているか、変更部分に対する金額の増減調整など直接現場において第三者的中立な立場で監理監督する、これが現場監理というものです(管理ではありません)。

 そして外観及びインテリアの色彩、照明器具の選定、さらにはカーテン、購入家具、絵や装飾品に至るまで建て主さんのセンスアップのためのお手伝いも設計士、建築家の役目です。

現場監理の重要性

 はっきりいって住宅メーカーや設計施工の現場には、監理はあっても前述の中立的立場における監理はありません。監理がないとどうなるかおわかりいただけたと思いますが、具体的に例を上げてお話しましょう。

 鉄筋コンクリートのコンクリートの中には、鉄筋が入っていることはどなたもご存じだと思いますが、この鉄筋、適当に入っていればよいというものではありません。きちんとした構造計算のもと、何本入れればよいか、それぞれ設計の段階で定めていきます。

 ところが、手を抜いて配筋してもコンクリートを打ってしまえば、その中味はだれにもわからなくなってしまいます。見積書の段階では単価二万円のものが、現場で単価五千円のものにすり変わってしまうのです。素人である建て主さんには、これらはチェックしきれません。結果的に損をするのはだれでしょう?

 良質な建物を手に入れるためには、必ず監理者が必要であると共に、設計と同じくらい現場監理をすることはとても重要なものなのです。

現場監理料について

 正しく言うと、現場で旗を振ることだけが現場監理ではありません。品質監理のための工場検査、施工図のチェック、検討図の作成、定例打ち合わせ会議の開催、工事工程の報告、官庁検査の依頼と立会等々、さまざまな業務があります。建物を実現するための作業ですから、設計と同じくらいのウエイトがあります。そのための報酬として前述の設計監理料の四分の一から三分の一を占めるとお考えください。

 以上、できるだけ専門用語を避けてわかりやすく述べたつもりですが、設計士、建築家の業務としての設計ならびに監理の重要性について、ご理解いただければ幸いです。

この項の終わりに建築家として常に私が信条としている三つの提言を書き添えておきます。

●建築家信条

  1. 建築を成功させるのは必ずしも設計の良悪ではない。三位一体、すなわち施主、施工者、設計者が一心同体となり協力するところにその結果がある。
  2. 建築家とはドラマに例えれば、演出家であり、そのためのステージや大道具(建築)を創造し、そこで演ずる人間のドラマを常に想定、脚色していく役割を果たす。
  3. 奇を衒った建築、デザインのみを優先した建築が名建築ではない。建築の美やデザインは常にその機能的美の上に成り立たなければならない。

設計の実例とその重要性

 設計のプロセスについてはだいたいご理解いただけたと思いますが、ここで実際に私の設計室で設計監理した建物の設計過程におけるお話をしましょう。

実例一 東京都世田谷区内K邸建替工事

 K邸の建つ敷地は住宅密集地、かつ狭隘道路に面する東側部分のみに解放されているだけで、南側のみならず、北、西側とも敷地境界ぎりぎりに二階建のアパートや住宅に閉ざされている。そのような条件下で建て主は良好な日当りを求めた。

 既存に建つ家は某住宅メーカーに発注して十数年前に建てた家である。南側をあけて住宅の配置計画の定石通りの建ち方をしているものの南側のアパートの影になり良好な日照が家、庭とも得られていない現状があった。そこに娘夫婦が一緒に住む二世帯住宅の計画がもち上がり、建て主は前回同様の住宅メーカーに声を掛けた。住宅メーカーは即座に計画案を提示、ところがそのプランとは間取りこそ異なるものの南側を庭とする既存と同じ様な四角い家であった。住宅メーカーの設計者(実際には下請けの設計事務所)は設計に当ってこの敷地の現状を調査したのか否か疑わざるを得ない、もしくは四角いプランしか用意のない住宅メーカーの宿命なのかと考えざるを得ない。(図ー1参照)

 この段階で疑問をもった建て主から私に依頼があり、日照に対する判断とプランニングを願った。解答(プランニング)は以外と簡単に生み出された。東南側方向からの日照を見い出し、これをL型形状の建物で受け止めるるという手法である。この形状を基本にプランニングが進められ、日の当る快適な中庭的外部空間と居住空間をもつ家として完成することができた。(図ー2参照)

 設計初期段階での判断が如何に重要か、理解いただける一つの例です。


左:図ー1:K邸 住宅メーカーの提示したプラン
右:図ー2:K邸 設計士の提示したプラン

実例二 横浜市内Y邸新築工事

 Y氏家族は横浜市内のマンションに住む。戸建住宅にあこがれ横浜市内の某所(下町的雰囲気の住宅密集地)に何と道路に接する部分三・八五m、奥行方向一五・六五mの土地を購入した。ところがこの鰻の寝床、もちろん設計してくれる住宅メーカーはない。不動産屋と購入を約束したものの困り果てたY氏は友人を通じて私に相談を持ちかけてきた。

 たまたまY氏の奥様が素人ながら描いた平面プランが用意されていた。これが幸いして設計士には建て主の要望が細部に渡ってよく理解でき、敷地の調査を通じて建て主が望む以上のものを即座に提案するに至った。

 しかしながら過酷な条件、北東側が道路、敷地の両側及び背面は五階建のビルや二階建の住宅、店舗に囲まれている。そのままでは日照はおろか通風すら期待できない。自然の恩恵が受けられない土地にいかに自然を呼び寄せるか、そのことを実現するためにほんの一坪強の「えぐり」(中庭)を唯一日照を期待できる面に出現させた(図ー三参照)。この「えぐり」によって各室の採光や通風が確保できたと共に、「えぐり」に植えたヒメシャラの木と隣地の庭木が一体化して思わぬ自然が付いてきた。この「えぐり」から空や風、緑や光たちに逢うことができる。広い敷地に建てた建物より返って強烈に自然を意識できるのかもしれない(図ー四参照)。

 同じ金額を出して建て売りを買うことを考えれば建て主に最高の贈り物のできた一例です。この贈り物も設計士でなければできません。


上(左):図ー3:Y邸 「えぐり」の平面図
下(右):図ー4:Y邸 断面図(自然を呼び寄せる)

実例三 神奈川県大磯T邸(斜面に建つ3世帯住宅)新築工事

 T邸の建築敷地は神奈川県大磯の宅地造成をされた分譲地である。その区画された一区画のこの土地は何と敷地内に三メートルの段差をもつ西向き斜面である。敷地の購入時から設計士が介入した。夏の西日を考えると条件は良くない、しかしながら建て主はこの地から見える相模湾と緑という眺望を買った。眺望のほかにも全室に良質な採光、日照、通風、そして未だ未分譲の隣地に建物が建った場合の日照条件の追究、三世帯が快適に住まうためのプランの提案、三メートル段差の有効利用等々様々な要望事項に検討に検討を重ね、約一年に及ぶ設計期間を経た後にようやく着工した建物である。

 検討の結果生まれたオープンエアーデッキを中心に展開するこの家(写真参照)は様々な条件や要望事項の中、設計から工事まで施主、設計士、施工者が三位一体になって成し遂げた偉業であるといっても過言ではない。

 「果たして住宅メーカーはここまでやってくれますか?」のほんの一例です。

 以上、簡単にお話しましたが、実際の設計過程での打ち合わせ内容は一言ではとてもいい尽くせません。しかしながら設計士の提言する設計内容の一つ一つが非常に重要であるということが多少なりともご理解いただけたでしょうか。



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